CROSS×BEATSとcrossbetasREV.終了一年に思う

CROSS×BEATS、及びcrossbeats REV.がサービス終了して1年が経ちました。
この投稿日時はCROSS×BEATS(以下CxB)のほうに合わせてます。

 

CROSS×BEATSからREV稼働へ、見過ごされ続けた陥穽

2013年末にサービスを開始したCROSS×BEATSは、実質従量課金のプレイチケット制を採用しさらにそれを悪用したかのようなランダムセレクト祭イベントの推進により客を飛ばし続け、広くプレイされるゲームにはなりませんでした。
しかし楽曲面で高い評価を受け、スマートフォンのディスプレイをフルに活用する操作性(視認性と相反するものではあるが)から熱狂的なプレイヤーに支えられていました。私自身もその一人でした。

twishort.comサービス一周年のタイミングで上記のような意思表明もしたりしてました。
1年強経った2015年1月にはAC版となるREV.を発表。吉祥寺プラカプを皮切りにロケテストを開始することになります。
直後の2月にはJAEPOに出展、私も遠方から参戦し、junさんが好きなBGM(祭のテーマ)をDJプレイしてノリノリになったりしてます。その後ロケテストが進行していくのですが、回数累積によるノベルティを提供した影響もあるのでしょうか、CxBから明らかに視認性が悪化したノーツデザインを始めゲームシステムの大部分が存置されたまま7月の本稼働を迎えます。
いざ稼働開始となったREV.ですが、その視認性の問題からくる「なんとなくノーツを追っていればなんとかなる」とかいかないゲーム性から稼働は低迷、僅かに先に稼働を開始していたチュウニズムを始め2015年夏だけで4機種もAC音ゲーが出回った事からくるユーザーの分散、そのゲーム性も比較の的となりプレイされないどころかバッシングの対象にまでなる事態になっていました。
一部ユーザーが啓蒙活動まで行うほど。自分もやったんですがね・・・

 

チュウニズムとは違い自前の店舗網が少なくサプライも弱かったカプコンは首都圏で稼働を開始し、8月上旬まで順次全国へ稼働を広げていくものの、全国に筐体が行き渡る頃には上記の評価が定着し、殆どの店舗で稼働率は他機種に劣後。ロケテストで意見を拾ったはずが、殆どのロケテスト参加者がiOSからの参加であり、外部からの意見を拾えなかった(累積プレイによるノベルティにより運営側が煽った面もあった)事が大きな陥穽を生んでしまったのでした。
危機感を覚えた開発者も手を拱いているわけではなく、首都圏での稼働から一か月の時点で大型アップデートを表明します。
 

9月中旬に行われた大型アップデートでは新デザインのノーツを採用、ANIMAXとタイアップしたアニソン曲の大量追加などもあり好意的に迎えられたものの初期に定まった評価と稼働率を劇的に変える事はできず。翌年5月には新バージョンSUNRISEを稼働、更なるUIの改善を図りますが劣勢は覆せず、10月にはiOSと兼任で初期から運営を行っていた開発陣はカプコンお得意の放逐の憂き目にあい、以降2018年6月のサービス終了まで稼働が頓挫したAC版Cytusの楽曲を再利用しつつ緩やかな死に向かっていくことになります。

CxBのコミュニティ

2018年4月中旬にCxB、REV.共にサービス終了が発表され、iOS稼働初期からのユーザーコミュニティでは最後のオフイベントが企画されました。サービス終了を月曜に控えた週末、高円寺のライブハウスを抑えて行われたイベントには40人以上が参加、自分も末席ながら参加してきました。
思えばこのコミュニティの存在が大きかった。iOS初期ではユーザーを募って非公式の団体戦が行われたり、謎のレンガのゲームが流行したり、ダンディ坂野音ゲーをプレイしたり、Togetterまとめが多数建てられたりとTwitterを中心とした交流が活発に行われており、私としては積極的にリプを送りあったりというわけではなかったのですがフォロワーさん同士の交流はとても楽しいものでした。確たる意思を持ってプレイ中の音ゲーを絶って参加したとはいえ、このコミュニティの盛り上がりがなければ最後まで続けられなかったかもしれません。古くからの方もREV.以降の方も、プレイヤーの皆さんには感謝しかありません。

SevensCodeに覚える不安と期待

CxBのプロデューサーを始め、主要なスタッフはCyberAgent系列の会社に移籍し、2018年9月に新作音ゲー『SevensCode』を発表、2019年度中のサービス開始を目指しての開発が行われています(最近山を越したようですが)。
謎解き要素の導入、一年間限定の運営などといったキーワードは発表されているものの10か月以上経った現在もゲームそのものについては全く不明のまま、その割には主題歌を歌うアーティストを公募したり

ライブイベントを都内で開催したり

 

といったゲームそのものとは離れた部分でのアピールを続けている状況になっています。
開発ペースが早い今の時代、PUBGと荒野みたいにゲームシステムを発表してもすぐ模倣されるのでSevensCodeに限らずゲームシステムをあまり公にできないのは当然ではあるのでしょうが、肝心のゲームについて参加アーティストくらいしか解らないままの進行にはやきもきさせられています。
やきもきさせられている時点で私はまだ彼等に期待しているのだなと自覚しつつも、現状は期待よりも不安と諦観のほうが大きいというのが本音です。
クロスビーツの時のようなコミュニティの盛り上がりが再び起こるのかどうか、そして何より1年と定められた運営システムに不安があるのです。私としては、音ゲーは新作がリリースされるから、新曲が提供され続けるからこそ意味があると思っています。
結構宮脇俊三を私淑している自分としては、氏が自著で引用したチェコの劇作家カレル・チャペックの『園芸家12ヶ月』の最後の一節

われわれ園芸家は未来に生きているのだ。バラが咲くと、来年はもっときれいに咲くだろうと考える。一〇年たったら、この小さな唐檜が一本の木になるだろう、と。早くこの一〇年がたってくれたら!五十年後にはこのシラカンバがどんなになるか、見たい。本物、いちばん肝心のものは、私たちの未来にある。新しい年を迎えるごとに高さと美しさが増していく。ありがたいことに、わたしたちはまた一年齢をとる。


音ゲーおいても言えることで(ひいては運営スタイルのソシャゲ全般にも言えますが)、音楽だけでなく、奇想天外な譜面やシステム変更も含めて、続いていくなかで広がっていく世界に、未来に思いを馳せながら今のゲームに向き合っていく過程が楽しいのだと考えています。
今のREV.は最早手入れがされることもなく放置され、しまいには鑑賞することもできなくなった薔薇園みたいなものでしょう。本来の所有者ではない鑑賞者側がなんとか現状を保とうと活動しているところもあるわけですが。
REV.はそもそも終わってしまったゲームですが、SevensCodeは運営の終わりが明示されており期間が終わればサービス終了はしないにしろ上記のような状況になることが見えているわけです。
実はそうでもないんだよ、とかであれば良いのですが…そのような心持ちで本当に楽しめるのかな、と思ってしまいます。

まあ、始まってしまえばバンバンやっているんでしょうけどね!早く未来を、新しい景色を見せて欲しい!